【危険物関連】解決事例

潤滑油や油圧作動油、金属加工油などが危険物であることは承知していたが、工場の拡大、機械の増設により使用量も増え、≪消防署の許可が必要≫な量に達していた。そのことを消防署の査察で指摘され対策を講じなければならない。どうしたらよいか?弊社のお客様からそのようなご相談を受けることが何度かありました。そんな危険物に関する解決事例をご紹介します。


危険物指定数量オーバー!!消防署より指導!!!

使用油(量):油圧作動油、ギヤ油、摺動面油 (約8,000ℓ)
【第4類】『第4石油類』(引火点 200度以上250度未満 指定数量6,000ℓ)

◇問題発生
工場拡張、機械増設により工作機械に使用している 油圧作動油やギヤオイル、摺動面油、倉庫に保管している予備の油を含め総貯蔵量が約8,000ℓとなってしまった。【第4類】『第4石油類』の指定数量は6,000ℓであるため、貯蔵量が指定数量の1.33倍になり管轄消防署に「許可申請が必要になる」と指導を受ける。

◇指導内容
危険物貯蔵所の「許可」申請の書類作成及び許可を得るための危険物保管場所の確保(油倉庫の建設)

◇お客様の要望
消防の指導に従い許可申請を行うにしても、必要書類も多く煩雑であるとともに、肝心の危険物の保管場所の確保、とりわけ消防法に対応した設備を整備するには多くの時間と費用を割かなければならなくなる。もちろん企業の社会的責任として法令を遵守し安全に責任を持つことは当然であるが、何か方法があるのなら対策を講じたい。とのことでした。

◇対応策
危険物の総貯蔵量を減らし、指定数量以下にする! 
性能においても従来製品と同等であることを確認したうえで 油圧作動油等の危険物『第4石油類』を非危険物である『可燃性液体類』に変更する!!(引火点が250度以上の液体は『可燃性液体類』に分類され危険物から除外される)

◇結果
今回、油圧作動油を『可燃性液体類』に変更することで危険物の指定数量の対象になる油を約7,000ℓ減らすことが出来ました。結果、危険物の対象である【第4類】『第4石油類』の使用は約1,000ℓになり、「許可申請」はもとろん「少量危険物の届出」すら必要ない状態にすることが出来ました。

※『可燃性液体類』は指定数量以内で使用されている場合はあまりメリットはありませんが、指定数量を超えた場合は有効な対策になります。


切削油(第3石油類)でも対応可能

使用油(量):金属加工油 (約4000ℓ)
【第4類】『第3石油類』(引火点 140度以上200度未満 指定数量2,000ℓ)

油圧作動油、摺動面油 (約700ℓ)
【第4類】『第4石油類』(引火(点 200度以上250度未満 指定数量6,000ℓ)     

◇問題発生
切削油として使用している金属加工油が機械の増設により使用量が約4,000ℓになっていた。油圧作動油等機械油を合わせると総量4,700ℓとなる。指定数量を超えているため対策を取るよう消防から指導を受ける。

◇指導内容

危険物貯蔵所の「許可」申請 ならびに機械の配置、周辺設備への自動消火器の設置及び火災報知機の増設

◇お客様の要望
新たに自動消火設備を設置するにはあまりにもコストがかかりすぎる。かといってそのままにしておくことは出来ない。何とかならないか?

◇対応策
幸い指摘を受けたのは金属加工油の使用量が指定範囲を超えていることでそれ以外の点(マグネシウムを加工している等ほかに指導該当個所はなし)では問題はありませんでした。そのためここでも『可燃性液体類』で対応しました。ただ、『可燃性液体類』は現在使用している加工油よりも高額であるため、今回は加工油全てを交換するのではなく、コストを最小限に抑えるため、必要な量を『可燃性液体類』に変更しました。

◇結果
危険物の総保管量を指定数量の1.00倍以下にすることで「許可申請」でなく「少量危険物の届出」を提出することで事態を収拾することが出来ました。消防署への届出は必要になりましたが、設備を増設、変更することなくコストを抑えるという点ではご要望にお応え出来ました。もちろん、金属加工ですから加工性能が悪化いてしまえば元も子もありません。加工油の性能変化で生産性に影響を与えないよう、刃具寿命はもとよりあらゆるテストを行い、交換前と同等の生産性を有する加工油を提供させていただきました。


油性(切削油)から水溶性に・・思わぬ効果が!!

使用油(量):金属加工油 (約2,500ℓ)
【第4類】『第3石油類』(引火点 140度以上200度未満 指定数量2,000ℓ)

油圧作動油、摺動面油 (約400ℓ)
【第4類】『第4石油類』(引火(点 200度以上250度未満 指定数量6,000ℓ)     

◇問題発生
何年かぶりに消防の査察があり、近年増設した機械の金属加工油が増えたため指定数量を超えていることを消防に指摘される。許可申請とそれに伴う設備の整備を求められる。

◇指導内容
危険物貯蔵の「許可」申請
機械ならびに周辺設備への防火対策

◇お客様の要望
とにかくお金をかけずに解決したい!!

◇対応策
かねてよりお勧めしていた水溶性加工液への変更を行いました。水溶性の加工剤に変更することで、危険物の対象から除外でき、結果、指定数量をクリアすることが出来ました。また、危険物の観点だけでなく、社長からは「今後を見据え新たな仕事を受注できるようにならなければ!」という話をお聞きしており、より汎用性のある加工液へ変更いたしました。

◇結果
消防の指導に対応するだけでなく、結果、生産性の向上、作業環境の改善にもつながりました。油性の切削油を使用しているということは、それなりの理由があり、水溶性を使用するにあたりクリアしなければならない点は多くありました。とりわけ重切削加工における潤滑性は油性加工液の大きな利点でもあります。そんなときの消防の指導でした。偶然ではありますが、加工液を変更する後押しになったことは事実です。ただ、実際使用してみると、持ち出しも減り、加工の汎用性も上がったと大変満足いただいております。油剤の性能も日々向上し以前では不可能であった加工も現在では可能となっています。
トータルコストを算出するにはしばらくかかりますが、今回は危険物対策だけでなく思わぬ副産物も得られる結果となりました。

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